『世阿弥は天才である-能と出会うための一種の手引書-』
三宅晶子 著
日本演劇を芸術の域に高めた、そんな天才世阿弥だが、彼は実は能役者としては不完全燃焼していたのではないか。その欲求不満を糧として創り出されたのが、世阿弥の能であり、能楽論なのではないか。中世日本文学者として長く能に取り組んできた著者は、最新の学問成果を踏まえる一方で、自由に世阿弥と向き合い、対話しながら、世阿弥の演劇人としての内面にまで踏み込んでいく。
世阿弥と、息子や甥など彼の影響化にある能の魅力を解き明かしていく中で、世阿弥を語り、室町時代の文化を考える。続きが読みたくて手放せない謎解き風の面白さを味わいつつ、一通りの能の基礎知識も身に付いている。
読み終わったとき、能楽堂に出かけたくなる本!